都心部におけるコンパクトマンションのメリット - 専門家が詳しく解説！不動産の学校 VOL.7

今回お話を伺ったのは…

三井不動産リアルティ札幌
札幌センター所長
桜井巨伸さん
業界歴30年超を数えるスペシャリスト。不動産全般に精通し、特に売買流通に関する知見が深い。息抜きは夫婦揃っての温泉巡り。本誌には２回目の登場となります。

Q1：最近、よく話題になるコンパクトマンションって？

--今回はテーマは都心部、大通エリアについてお話を伺いたいと思います。都心部に住むメリットって何でしょう？

「まずは名前の響きでしょうか。円山や宮の森などと並び、ブランド力があります。オフィス街やショッピング街など中心部へのアクセスの良さ、付近に大通公園があるのも魅力ですね。治安も良く、安心して暮らせる環境と言えます。」

--どういった層に人気なのでしょう？

「単身者やシニア世代、DINKs（ディンクス）といった層が中心でしょうか。反面、教育施設の数が少なかったり、交通量が多いこともあり、ファミリー層にはあまり向かないかもしれません。」

--DINKsってどんな層の事ですか？

「子供を作らず、共働きで生活するカップルを指します。『Double Income No Kids』の略ですね。こうした方たちは都心部での暮らしを志向する傾向が強いようですね。」

--最近多いですね～。では、大通エリアのトレンドはどんな物件でしょう？

「人気はいわゆるコンパクトマンションですね。ファミリータイプのマンションが一般的に占有面積で70～80㎡ほどの広さであるのに対し、コンパクトマンションは30～50㎡くらいの広さのものが中心で、間取り的にはワンルームから2LDKとなります。」

--確かに単身者や2人暮らしだと、ファミリータイプは広すぎますね。

「はい。コンパクトマンションに対するニーズは高まってきており、最近建設される分譲マンションではこうしたタイプを多く設けています。市内中心部の好立地の物件では、3,000万円〜4,000万円程度で活発に取引されております。市内中心部に勤務するDINKsや単身者、また道外に居住中の方で、セカンドハウスや投資目的での購入や、札幌市内に通学するお子様のために購入するといった問い合わせも多数いただいております。」

Q2：コンパクトマンションはリセールバリューがイイって本当なのでしょうか？

--コンパクトマンションを投資目的で買われる方もいると伺いましたが、何かメリットがあるのでしょうか？

「たとえば、お手持ちの中古マンションを売りに出すとして、適正な価格が4,000万円を超えるとしましょう。最終的には売れるかもしれませんが、購入できる層が限定されてしまうため、すぐに買い手がつくとは限りません。それに対し、価格が3,000万円台くらいだと多くの人が手を出しやすいですよね？どのように運用するにしても『売りたい』時に、『買いたい』人を見つけやすい流動性の良さが魅力ですね。」

--確かに買う側からすると、3,000万円台だったらローンを組むことを考えても精神的に楽ですね。

「2LDKくらいのコンパクトマンションでしたら、ローンを組んだときの月々の支払額は同じサイズの賃貸住宅の家賃とそう変わらないと思います。それと、先ほど述べたDINKsは総世帯の中での割合でも増加傾向にあることから、コンパクトマンションへの需要は今後も増え、価格が落ちづらいと考えられます。つまりコンパクトマンションは、リセールバリューが非常にいい物件なんです。」

--価格が安定していて、買い手もつきやすいなら、将来子供をつくることになっても住み替えが楽ですね。

「また、近年は資材価格の高騰などの影響もあって新築マンションの価格は値上がりが続いています。中古マンションもそれに釣られて上昇傾向にあるんです。それに加え、ここ数年は札幌の中古マンション価格は上昇基調のまま。大通や円山などの人気エリアの物件ですと10年前に購入したマンションが、購入時と同じ値段で売れたケースも。今後もこうした傾向は続く事が期待されます。」